
間違うと画質が劣化?画像形式の特徴と違いについて
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「JPGとかPNGとか,何が違うの!?」
カメラやスマホのスクリーンショットなどで私たちも日常的に画像を扱うようになりました.でもその保存形式について考えたことはありますか?実は,知らないと「あれ?画像が粗くなってる…」なんてことになってしまうんです!
今回のテーマは「画像形式」です.
1. 画像形式って?
今回は画像形式がテーマになっているのですが,中には
「画像形式?聞いたことない…」
という方もいらっしゃるかもしれません.
そういう方でもファイル名の後に「.jpg」とか「.png」,「.bmp」などがついているのを見たことがあるのではないでしょうか.
これらはそのファイルが「どのような形式で保存されているか」を示している”拡張子”というものなのですが,
前述した拡張子三つは「画像形式」の種類を表す拡張子なのです.
(他にもwordファイルを表す「.docx」や,テキストデータを表す「.txt」など,様々なものを表す拡張子が無数にあります.)
以前日本語は使っちゃダメ!?ファイル名の正しいつけ方という記事でも少しご紹介しましたが,パソコンはすべての処理やデータを0と1の組合せ(2進数)で表現しています.
もちろん画像に関しても同じように2進数で表現しているのですが,その画像自体をどのように表現するか,どのようにとらえるかというのは自由度があるわけです.
図のように,同じ柄であっても表現や解釈に違いが出ます.
解釈1は1マスごとに白と黒を並べていって表現していますが,
解釈2は順に「黒が3つ,白が1つで改行,白が2,黒が1,白が1で改行」というように色と連続する個数を一組にして解釈しています.
この画像に対する表現や解釈の違いは
言語の違いによく似ています.
日本語で「リンゴ」は英語で「Apple」と表現されます.
同じリンゴですが言語によって読み方も表す文字も変わりますよね?
画像も同じで,同じものをあらわそうとしているのですが
表現方法に違いがあるのです.
難しい話をすべて話すと専門的すぎるので省きますが,
とりあえずは
画像に対する解釈の違いがあるために,画像形式によって表示される画像が変わる
ということがわかっていただければいいかと思います.
2. 各特徴と使い分け
(画像)形式のことについて少し理解したところで,普段皆さんが触れるかもしれない画像形式についてその特徴と使い分けをまとめていきたいと思います!
JPG:写真に最適!
おそらく皆さんが一番使用している画像形式がJPG(JPEG:ジェイペグ)という形式だと思います.
というのも,みなさんがデジカメやスマホ,携帯で撮影した写真を保存するときにデフォルトで使用される形式だからです.
JPG形式は非常に「圧縮」が強力な画像形式です.
この「圧縮」は画像をデータに変換して保存した時のサイズだと思ってください.
JPGの圧縮の特徴は
肉眼で確認できないような細かい色の違いは無視する
というところにつきます.
自然界の色というのは厳密には無限大の数があります.
虹は7色といいますが,くっきり分かれているのではなく境界線があいまいになっていますよね?
これに対してパソコンの中で扱える色は赤緑青の3色の組合せ,その3色はそれぞれ256段階に分かれているのですが
自然界の色をすべてパソコンの中で扱える色に置き換えてしまうと,非常に多くの色を使って画像を描いていくことになります.
そうすると肉眼ではあまり気にならない微妙な色の違いさえも
違う色であるとパソコンに判別されてしまうため
それらすべてを表現すると非常にサイズの大きい画像になってしまうわけです.
JPGは人間が判別できないような微妙な色の違い(正確には輝度の違い)を省いて,
画像の中に使われている色自体を減らしてやることでサイズを小さくしようという画像形式です.
そのため
色の境界線が曖昧で,かつ色の数が非常に多い画像=写真や多色のグラデーションに最適です.
ということで写真を保存するときにはJPGにしてもらえればいいのですが,
JPGは細かな色の違いを省くため,色の情報自体を捨てることになります.
そのため画像を拡大したときに粗くなっている部分があったり,ノイズが入ってしまうため
写真を印刷物に使いたい場合などには解像度を大きくすることで対応しましょう.
また,JPGの画像は編集して保存しなおすたびに色の情報が失われていくため粗くなっていくので注意しましょう.
PNG:スクショ・イラストに最適!
パソコンやスマホの画面に使われる色や,ペイントやPhotoshop,Illustratorなど様々な描画ソフトでイラストを描くときに使われる色の数は自然界に存在する色に比べて非常に少ないです.
このような場合にはPNGが最適です.
PNGはJPGと違って「色を省く」といった作用はないので
美しさを残したまま保存できる上に何度編集して保存しなおしても美しさは変わりません.
また,PNGの素晴らしい機能として
色だけでなく「透過度」を表すことができます.
色を半透明にしたり,背景を透明にしたりということが簡単にできる強みがPNGにはあります.
ただし!
PNGは色の情報をすべて保存するため
写真など,色が多い画像をPNGで保存するとサイズが非常に大きくなってしまうことになります.
写真ではなくスクリーンショットやイラストに使用する,と覚えておきましょう.
GIF:アニメが使える!
GIFはPNGが登場する以前に使用されていた画像形式です.
PNGやBMPに比べて扱える色が少ないため,扱えない色については「捨てる」ことにはなりますが
透過度も扱えるためほとんどPNGと変わらないと考えてください.
(扱う色の数が少ないため,厳密にはPNGよりもファイルサイズが小さくなることもあります)
※細かい話をすると,ある組織がGIFの特許を主張したため自由にGIFが使えなくなり,
それに反発して新しい画像形式のPNGが作られたという経緯があります.
(現在はその特許が失効されたため自由に使えます.)
ただし!!
PNGとの大きな違いとして
簡単なアニメーションを扱える
ということがあります.
とはいえ普段からアニメーションを多用するような人はいないと思いますし,
どんな描画ソフトでもアニメーションを作れるわけではないのでほとんどGIFが活躍する機会はないかなぁと思います.
スクリーンショットを何枚も撮ってアニメーションを作成して
皆さんにパソコンの操作方法をお伝えする…といった理由で私が使うことはあるかもしれませんね…
BMP:誰でも使える!
BMPはまったく画像の圧縮を行わない画像形式です.
パソコン上で扱えるすべての色を扱うことができ,保存しなおしてもJPGのように画像が劣化したりすることはありません.
が,
とんでもなくファイルサイズが大きいです.
また,透過度は設定できないためJPGやPNGに比べていいところがないように思えるかもしれません.
しかし,そんなことはないんです.
BMP形式は圧縮を行わず,非常にパソコンが処理のしやすい形式なので
描画ソフトでBMPを扱えないソフトはほとんどありません.
画像を編集したり,イラストを描いたりするソフトでJPGやPNG,GIFを扱えないことはあっても
BMPを扱えないソフトはほぼないということです.
そのため
サイズがある程度大きくてもよいから確実に相手が扱える形式で画像を渡したい
という場合には有効です.
ただし,最近のスマホやPCおよびソフトウェアでPNGを扱えないものは少なくなってきているので
BMPを使うのはプログラマーくらいになっていくかもしれませんね…
おまけ:RAW
おそらく一部の人は聞いたことがあるかもしれないのがこの画像形式です.
デジタル一眼などのカメラをお持ちの方はこの画像形式をご存知かと思います.
俗にいう「生」の写真を保存できるというものです.
先ほどJPGは写真に最適!!
と言っていましたが,JPGは色の情報を省くために画質が劣化したりノイズが入ることがあります.
普通に写真を撮ってみるだけならJPGでほぼ問題はないのですが,
撮った写真を加工したい,という場合があるかもしれません.
このような場合に,もしもカメラでRAWのまま画像を加工できるのであれば,RAWの画像を加工してからJPGに変換するというのが良いでしょう.
3. 画像に関するその他の保存形式
画像形式ではないのですが,
提出ファイルだったりチラシなどの原稿ファイルとして扱われるファイルについても少しご紹介しておきます!
(なんかAdobe社の宣伝みたいになってしまって本当に申し訳ない…)
PDFはAdobeという会社が作ったファイル形式です.
AdobeはAdobe ReaderやAcrobatをはじめ,PhotoshopやIllustratorなどのコンピューターソフトを作っている会社なのですが,
画像などを含む文章をあらゆるパソコンのあらゆる環境で美しく(同じように)表示することを目的として作ったファイル形式がPDFなのです.
WordファイルなどはMicrosoftOffice Wordが入っていないパソコンやスマートフォンでは表示できませんし,
他の形式では拡大すると画像や文字の形が粗くなってしまうのですが,
PDFであればPDFを読むためのソフトが入っていれば読むことができる上に,拡大しても美しく表示することができます.
さらに大事なことは
一度作ってしまえば他人には編集が比較的難しいという特徴があるんです!
そのため,あなたが作ったレポートやチラシを提出するというときに
誰かが勝手に変更を加えることがないようにPDFにして送信,ということがあったりします.
厳密には画像形式ではないですが,
チラシやビラなどを提出する際に指定されたりするので
PDFの「誰でも見れて,セキュリティも良い!」という特徴も覚えておいてください.
AI, PSD
AIはIllustrator,PSDはPhotoShopという…Adobe社の開発したソフトのファイル形式です.
こちらは画像形式ではなく,これらのソフトを使ってイラストを描いたり画像を加工するためのファイルなので
基本的にはこれらのソフトがないと開くことはできません.
高額なソフトなので開ける方は限られてはいますが,
コンピューターで印刷物や画像を制作,デザインされている方には恐るべきシェアを誇ります.
そのため,
チラシなどの印刷物等のデザインを他の企業や店舗などに依頼した場合には
AIやPSDファイルで提出されることがあります.
しかしIllustratorやPhotoShopを持っていない場合はひらくことができないので
「PNGでもう一度提出お願いします」
と再送信を頼むといいかもしれませんね.

何十年もAdobe製品でイラスト制作をしていて、.psdと.aiと.jpg形式で納品していたのですが、納品先からTIFF形式やPDFでくださいと言われることがありましたが、その違いがこの記事を見てやっと理解することができました。
PNGはスクリーンショット時だけ使っていましたが、Adobeでシリアル番号を認識されないことがあり、.psdと.aiが開けなくて困ったことがありましたが、今後はPNGとPDFでも保存するようにします。ありがとうございました。
柴さん
コメントありがとうございます!
お役に立てたなら幸いです!
※ここからは余談です…
今回は省いているんですが,
ラスターとベクター,あるいはペイント系ソフトとドロー系ソフトというものがあります.
Photoshopなどのペイント系ソフトで扱うラスターは「ドット」と呼ばれる無数の小さい点で画像を構成させる画像形式で,
今回紹介したpdf以外のすべての形式はこのラスターに含まれます.
(正方形の集まる表をひとつずつ色で塗りつぶしている感覚です)
点で集まっているものは,縮小するとその点を表現できなくなって「つぶれる」,拡大すると「粗くなる」という特徴がありますから
今回紹介したものはそれぞれ違いはあれど画像として限界があるわけです.
これに対し,Illustratorなどのドロー系ソフトで扱うベクターは
「ベクトル」を代表とする式や数値で画像を形成し
どのような場合でも美しい画像を表現することができます.
たとえば「半径5cmの円」を誰かに伝えるという例を考えてみます.
実際に鉛筆で紙に半径5cmの円を線で描くのがラスターです.
これだとお手軽で一見わかりやすいですが
円を拡大したときには構成している線も太くなりますから
「この線のどこが厳密に半径5cm…?真ん中?内側?外側?」という問題が発生します.
これに対して
「中心から5cmのすべての点」という情報で表現するのがベクターです.
こうしておけば拡大しても縮小しても「中心から5cm」という情報はかわらないので
拡大縮小が行われるたびに中心から5cmをコンピュータが計算して円の位置に正しい線を引くことができるわけです.
ちなみに,pdfに関してはラスターもベクターも扱うことができますので美しさの観点からいけば
psからの保存はpngでも良いですが,
aiからの保存はpdfのほうがベターかと思います.
ただし,psのファイル中にaiなどから持ってきたベクター画像を含んでいる場合はpdfのほうが美しいかもしれませんし,
aiに関してはsvgやeps(どちらもベクター型の保存形式でinkscapeをはじめ,他のドロー系ソフトで開ける)で保存するほうがもっとよいかもしれませんが…
ということで長々と余談失礼いたしました!
画像形式は本当に奥が深いですよね(*^^*)
いやはや、こちらのサイトを見て驚きました。これで疑問が解明されました…
こんなに違うのですね。本当に勉強になりましたm(__)m
マサさん
コメントありがとうございます.
写真やスクリーンショットなど,身近な「画像」ですがとても奥が深くて面白いですよね!
もしパソコンやスマートフォン関連で何か他の疑問が浮かびましたらぜひお知らせくださいませ(*^^*)
はい、すでにブックマークに入れさせていただいてます。
わからないことがあればご相談させていただきますね^^
マサさん
ありがとうございます!ブックマークですか!とても励みになります…!
今後ともBLOG AND LEMONADEをよろしくお願いします(*^^*)
写真を始めました。これからRAWを遣おうと思っていました。いまさら人に聞けないことが解明されました。有難うございます。60歳過ぎてますから(笑
またよろしくお願いします。
おじじさん
コメントありがとうございます!
60歳を過ぎてから写真を始めるって素敵ですね!
たくさん写真を撮るとそれだけ容量が増えていきますけど,画像形式を理解しておくと無駄を省けるので保存媒体にかけるお金も節約できるからよいですよ!
こちらこそ,また何かパソコン関連でわからないことがありましたらリクエストお待ちしております.
初めしてねねこといいます。
少し形式について分からないことがあり聞きたいのですが、
PDFのデータをフォトショで開くとき、どの形式が一番いいですか?
ジェイピグとPNGですと印刷したとき文字が荒れてしまい
PDFですと文字がある部分だけ反映されて画像のサイズが変わります。
どうにか効率よく画像のサイズも変わらず解像度も高くできる形式はありますか?
ねねこさま
大変ご連絡遅くなり申し訳ございません,
PDFはベクター形式で保存されているため,開くときもベクター形式がよいと思われます.
PDFはいまいちとのことですので,EPSとしてひらければそれがベストかと思います.
詳しい御解説ありがとうございます。BMPが劣化しないと言うのはある程度存じていました。しかし気に入ったアニメ絵をBMPで保存し、PCの壁紙に指定するとその瞬間は問題ないのですが、数分ネットなど閲覧してPCに戻ると劣化しているのです。。レモン色の髪に黄色と微妙なオレンジがポツポツと現れ、見ていてイラッとするのでペイントで修正してBMP保存をしました。それなのに「又黄色がポツポツ現れた、、」と、何度も修正作業が無駄だったと肩を落としています。保存したBMP絵は綺麗にJペグ劣化を修正したまま大丈夫なのですが、根本的に「壁紙」と言う物に向かないのでしょうか?再度修正した方を壁指定しても同じく劣化が現れてしまいます。。